柱を建てて家を作ります
手描きパース講座
パース雑学帖
パースの知識を雑学風に書き連ねてみました。しっかりと系統立てでの解説ではありません。気が付いたことを順番に解説していきます。
パースとは紙の上に、すなわち平面に立体(3D空間)を表現す手法です。表現手法の一つとして風景スケッチがあります。目の前の建物を紙すなわち平面に描き写します。建物を描いていればパースかと思いがちですがちがいます。スケッチは目の前の風景をシルエットとして写し取ります。パースは構造も含めて形を構築していきます。図面をもとに形を立ち上げていきます。大工さんが家を建てるのと全く同じです。紙面の上で柱を立ち上げていきます。家を建てる様に形を描いていきす。
パースは奥行きを見せる絵です
パースを端的に言えば奥行きを表現する絵であり、特に寸法のある絵でもあります。ものには寸法があります。その寸法を含めて形を表現します。高さを測り、奥行きを測ります。結果的に図面と同じ扱いになります。パースを学習する前にまずは単純なことを雑学として見ていきましょう
奥行きの見える表現とは通常1-A、1-Bのような絵であり奥に行けば行くほど小さくなる表現の絵です。影を描き加えればより立体感が明確になり、形の理解へとつながります。人が入れば瞬時に物の大きさは理解されます。私たちは感覚として人の高さ理解しており対象と重ね合わせることで高さを判断できます。人を入れることはパースの手法の一つです。意識して奥行きの見える絵を表現してみましょう。
測れる面と測れない面とは
対象をどう見ましょうか。正面から見る、斜めから見る。見る位置から大きな違いが見えてきます。斜めの四角は直接測れますか。
2-A、2-Bの絵を見てみましょう。ともに正方形をパースとして描いた絵です。2-Aは真正面から描いた絵です。2-Bは前図の1-Aと同じく奥行きのあるです。2-Aは奥行きが無いのでパースとは言えないと思いますが見ている位置から正方形までの距離が奥行きです。これも奥行きのある空間を表現しています。3-A、3-Bはそれぞれ上から見た図です。矢印の元が視点(立ってみている位置)そして視点と対象の関係を上から見ています。
正面からの正方形は奥行きがありません。すなわち平面です。ここで一つとても重要なことを理解しておく必要があります。視点に対して正面に対峙する面は直接測れるということです。定規を使い形を寸法通り振り分けることが出来ます。寸法を表現するパースとしてはとても重要なことです。2-Bの奥行きを直接測る定規は今のところありませんので様々な手法を使い測ることになります。直接測れる面があることを理解してください。一点透視図法・二点透視図法では垂線も測ることが出します。
直接測れない奥行きはどう分割しますか。
対角線はとても簡単な分割法でラフスケッチなどの作図ではとても重宝します。平面でもパース上でも対角線は引けます。
一つ簡易に奥行きを分割する手法があります。対角線です。簡単な分割法です。まさしくパースの必需品であり魔法の杖です。対角線は中心を見つけてくれます。中心が見つかれば二分割や四分割に広がります。4-Aは正方形を正面も含め色々方向なら描いた絵です。勘では正確に2分割できません。でも対角線を引いてみるとそれぞれ中心に交点ができます。辺と平行な線を交点から引けばそれぞれ二分割されます。測る必要もなく作図で正確に分割することが出来ました。端点同士を直線で結ぶ単純な作図ですのでフリーハンドでも作図は可能です。ですからラフスケッチにはもってこいです。
対角線により奥行きを分割することが出来る。しっかりと覚えてください
正六面体は形の基本形
私たちが判断できる形は何でしょう。それはサイコロの形であり正六面体です。どの辺も同じ長さにみえる。どの面も正方形に見える。見た目で形が判断でる。
六面体の特徴は①辺の長さがどれも同じ。②四隅の角度がどれも90度③六つの正方形で構成されている。具体的には平行する線のグループが三つ(一つは垂直。左右に伸びる二つの平行線のグループ)に分けられる。まずは描いてみました。図5にて表した正六面の中でどれが正解でしょうか。一目で4とわかるはずです。今までの経験値から判断です。正しい形かどうかを判断するのもパース作図ではとても重要なファクターです。形が正しいか正しくないかの判断は見た目です。けして数値だけではありません。人間の目はとてもアナログです。パースは見た目で印象を捉えます。わざわざ測ったりなどしません。正六面体が描けることは一目印象を伝えるとても重要な要素です。何回もスケッチして描けるようにしましょう。
次にパース的手法で正六面体を描いてみましょう
まず床に正方形を描きます。印象はどの辺も同じ長さに見える形です。次に四隅から垂線を立ち上げます。垂線ですので垂直に線を伸ばすだけです。各垂線の高さはまずはバラばらで構いません。とりあえず立ち上げましょう。要はこの線上に求める位置があるということです。最後に上の正方形の面を描いて終了です。垂線が飛び出していてもかまいません。これがパース的作図の特徴です。
まずは平行線の描き方を
正六面体の描き方はまずはパースでの平行線の描き方をマスターしなければなりません。なぜなら正六面体は平行線のグループの集合からできているからです。
平行線の約束事。平行する線は水平線上の一点に交わる。水平線は視線の先にあります。町の雑踏の中にも、田園風景の中にも必ず目線の先にあります。この水平線がパース表現の出発点です。水平線は様々な事柄を導き出すとても需要な要素です
図7が正六面体の作図と水平線と消失点の関係です。正六面体は左右に二つの平行線のグループがありますので左右に一つづつ交わる交点が出来ます。パースでは消失点と言います。記号としてはVで表記します。消失点は平行線のグループが増えれば新たに消失点が見つかります。そのつどV1、V2、V3とかに描き加えていきます。今回の二点透視図法では垂直線は交わりませんので消失点は左右に一つづつとなります。
平行線の行き先は
交わる位置は視線の高さ、その高さに水平線があります。地面と平行する線はどれも水平線に向かいます。一番分かりやすいのは壁のタイルの目地です。目の高さの位置の目地線は真横に伸びます。目の高さより上の目地は下に向かい、目の高さより低い目地は上に向かいます。図8がそのイメージ図です。平行線は目線の先に向かっているのがお判りでしょう。このことを踏まえての正六面体を作図します。
では他の形も描いてみましょう。三角錐、円錐、円柱です。作図過程がわかるよう基本はスケルトンで進めます。まずは床に平面形。床に三角形を描けと言われてもなかなかすぐには描けません。何か基準を見つけて作図するのが描きやすい方法です。一番分かりやすく描きやすいのが正方形です。床に正方形を描きその中に三角形を収めます。正方形を描けば自ずと水平線は見えてきます。正方形を描く過程でまずは水平線を見つけ出す。これがパース作図の流れです。作図により三角形の中心を求めます。そこから垂線を立ち上げます。三角錐の頂点を決めたらその位置と各辺の端点を結びます。これで任意の高さの三角錐の作図の完成です。
では円錐も描いてみましょう。まずは正方形を描き、対角線を引き4分割します。円と正方形の関係を踏まえてこの正方形の中に円を描き込みます。すると床に正円が描けました。中心から垂線を立ち上げて任意の高さの頂点を決めます。床の円周の線と頂点を結べば円錐の完成です。次に円柱です。床に描くのは円錐と同じです。今回は任意の高さに正方形を描かなければなりません。縦に長い六面体を描くことになります。しっかりと水平線との関係を理解して左右の消失点を見つけ作図を進めます。任意の高さに正方形が描けたら床での作図と同じく正方形と円の関係を描き進めます。上下の円をつなげ円柱の出来上がりです。他にも円柱の描き方があります。
この関係式を利用すれば蓋つきのペットボトルも描けます。ボトルに張り付いたラベルも描き加えることが出来ます。パース画の楽しさが見つかるかもしれません。
奥行を測る方法は
次に覚えるのは奥行き表現です。単に奥行きを描くのではなく数値として奥行きを描きます。1mとか2,6mとかです。なぜならパース表現は寸法表現ですから。確実に寸法に合わせて絵は描き進めなければなりません。垂直線は奥行きが無いので定規を使い直接測ることが出来ます。高さは常に測れます。奥行きを測る定規はありません。奥行きを表現するのに正方形を使う手法があります。縦と横はどれも同じ長さです。高さ10Mの正方形を描けば奥行きも10Mになります。この手法だけにとどまりませんが水平線と高さの関係を理解しなければなりません。水平線は目線の高さにあります。人が立てば視点高は目線までの高さで1,5M、水平線の高さも1.5Mになります。地面から水平線までの高さは1.5Mに。今回は一辺が6Mの正方形をかいてみました(8図)。
ま ずは水平線を引きます。次に任意の場所に垂線を立ち上げます。地面の位置から水平線と交差する位置までの高さは水平線高1.5Mです。その長さを上に3つつなげると1.5M×4で6Mの高さの柱になります。両端点から水平線方向に平行線を引きます。平行線は水平線上に重なります(V)。正方形に見合う位置に垂線を下ろせば正方形の図形いなります。ここで垂線を下す位置を決めるのは数値ではなく感覚です。見た目正方形に見えればそれが正解であり正しい位置です。正方形は唯一私たちが判断できる形だと思います。結果的に奥行き6Mが決定したことになります。20Mの正方形を描けば奥行きは20M、50Mの正方形を描けば奥行きは50Mと垂線の高さを変えればそれと同じ長さが奥行きとなります。この方法で一番の基準は正しい正方形が描けるかにかかっています。練習すればCGが描く正方形と同じとは言えませんがかなり近い正方形が描けるはずです。まったくアナログな手法です。後は求める長さに分割するだけです。余談ですが図法に従って描いた奥行きがクライアントから狭く感じるのでもう少し広げてもらえませんかと言われればぎりぎりの範囲まで伸ばします。パースは見た目ですから。
図9は正六面体を使い奥行きを空間としてとらえた例です。辺の高さを変えることで空間の広がりを設定することが出来ます。この中に対象のものを描き入れれば寸法の取れる空間表現となります。この奥行きの分割は対角線などを使えば簡単に描き進めることが出来ます。最終的には他の方法を使いミリ単位まで分割することが出来ます。詳細寸法の表現が可能となります。